英検の新設級「準2級プラス」とは?詳細と取得メリットを解説!
日本英語検定協会が、英検準2級と2級の中間に当たる新設級の採用を発表したのが2023年9月。新設級の名前は「準2級プラス」で、2025年度第1回からスタートします。
2024年度から3級以上の問題がリニューアルされたことに続き、新設級の開始でさらに英検が新しくなります。社会の求める英語力のニーズに合わせて変化する英検は、今後ますます優遇制度や履歴書での評価、昇給や資格手当などに利用される場面も増えてくるでしょう。
本記事では、「英検準2級プラス」のレベルや、受験するメリット等について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
英検の新設級は「準2級プラス」!
英検に新設級が採用されるのは、なんと31年ぶりです。現在英検には5級から1級までの7つの級があり、新設級の「準2級プラス」は、準2級と2級の中間に位置します。
「準2級プラス」という名前には「前向きに」「ポジティブに」という願いが込められています。準2級までしっかりと英語力を伸ばしてきた受験者が、高校卒業レベルの2級を目指して前向きに学習を続けられる身近な目標となるように、「プラス」と名付けられました。
準2級プラスは準2級と2級の橋渡し!
準2級プラス特設サイトのデータによると、英検5級から準2級までは約1年で合格するケースが多いのですが、準2級から2級までは合格に2年近くかかっています。準2級までは毎年一つ上の級にチャレンジできたのに、2級から急に難易度が上がるので、そこで挫折してしまう受験者も多いようです。
しかし、大学入試優遇制度や、履歴書に記入できるレベルも2級以上が基準となっている場合が多いため、2級合格への高い壁が課題となっていました。
そこで、挫折せずに2級を目指して英語力を伸ばしていけるように、準2級と2級の間の橋渡しとして準2級プラスが作られたのです。
英検準2級プラスに必要な英語力は?
準2級プラス特設サイトには、準2級プラスに求められる英語力として、「身近な社会的な話題」について「概要や要点」を理解し、使用することができる、と提示されています。
一方、準2級は「日常的な話題」について「基本的な語句」を理解・使用出来る英語力です。そして2級になると「社会的な話題」について「概要や要点を理解し、展開を考えながら伝えることが出来る」英語力を求められます。つまり準2級プラスは、準2級と2級の中間レベルといえるでしょう。
また英検は高校英語の学習内容に沿っており、準2級を高校初級レベル相当、2級を高校卒業レベル相当としています。準2級プラスは、その間の高校2年生レベルの到達目標と位置づけられます。
では、準2級から2級までの具体的なスコアをみてみましょう。
英検CSEスコアで比較
「英検CSEスコア」とは、世界基準で自分の英語力が分かるユニバーサルなスコアで、英検の合否判定に使われています。3級以上では合計スコアが合格基準に達していても、4技能(読む・聞く・書く・話す)のうち0点の技能があると合格できず、4技能のバランスが重要視されています。
各級の合格基準スコアがこちらです。
英検級 | 1次試験 (Reading・Listening・Writing) | 2次試験 (Speaking) | 4技能合計 |
---|---|---|---|
準2級 | 1322 | 406 | 1728 |
準2級プラス | 1402 | 427 | 1829 |
2級 | 1520 | 460 | 1980 |
スコアで比較しても、準2級プラスは準2級と2級の中間に位置しているのが分かります。
4技能総合CEFRで比較
「CEFR(セファール)」とは、外国語の運用能力を同一の基準で測ることが出来る、国際標準規格です。A1からC2の6段階で、その言語を使って具体的に何ができるかを示しています。
各級のCEFRレベルはこちらです。
英検級 | CEFR | 英語で何ができるか |
---|---|---|
準2級 | A1~A2 | 自己紹介や他人の紹介などの個人的な情報を、ゆっくりはっきり話してもらえばやり取りできる。 |
準2級プラス | A2 | ごく基本的な個人情報や買い物、地元の地理などよく使われる表現が理解できる。 |
2級 | A2~B1 | 仕事・学校・娯楽などの話題について主要な点を理解でき、身のまわりで起こるたいていの事態に対応できる。 |
参照:CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)ブリティッシュ・カウンシル公式ウェブサイト
CEFRのスコアは「4技能すべての受験」で算出されます。
TOEICとの比較
TOEICにはL&R(聞く・読む)テストと、W&S(書く・話す)テストがあります。日本国内で一般的にTOEICというとL&Rテストを指す場合が多く、1度に4技能を測れる英検と単純比較はできません。
そこで、CEFRを利用して英検準2級プラスをTOEIC L&Rテストのスコアに換算してみると、CEFR A2でTOEIC 500~550点となります。履歴書に書けるTOEICスコアの基準が500点以上といわれているため、当てはまることが分かります。
英検準2級プラスの試験内容は?
現在公開されている準2級プラスの試験内容はこちらです。
85分 | リーディング(31問) | 短文の空所補充、長文の語句補充、内容一致問題 |
ライティング(2問) | 英文要約と意見論述 | |
約25分 | リスニング(30問) | 会話問題と説明文問題 |
約15分 | 2次試験 スピーキング | カードの英文音読、内容についての質疑応答、受験者の意見を問う質問 |
試験時間は2級と同じです。準2級よりも抽象的で、かつ社会的な語彙が増えるので、語彙力を強化する必要があります。
こちらからサンプル問題がダウンロードできるので、参考にしてください。
英検準2級プラスを取得するメリットは?
準2級と2級中間レベルのとして新設された準2級プラスですが、受験するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的には以下の3つがあげられます。
英検2級にチャレンジしやすくなる
英検2級から難易度がアップする理由は、その内容と語彙の多さにあります。内容的には、準2級では日常的な話題が中心であるのに対して、2級では社会的かつ抽象的になり、ビジネスシーンなども含まれます。そのため中高生にとっては、内容そのものを難しく感じるケースもあるでしょう。
準2級プラスでは、内容を「身近な社会的な話題」と提示しています。社会的ではあってもより身近な内容を扱うので、準2級からスモールステップでレベルを上げながら2級にチャレンジすることが可能です。
準2級と2級の中間レベルとして新設された準2級プラスですが、受験するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的には以下の3つがあげられます。
大学受験に利用できる
英語外部検定利用入試に英検を利用する大学は年々増えています。具体的には、大学入試までの2年以内に英検2級以上を取得していると、受験の英語科目を免除・加点・得点換算などの方法で優遇される制度です。また、2級以上の取得を出願条件にしている大学もあります。
準2級プラスの開始により、今後準2級プラスが優遇制度に活用される可能性もあります。準2級は取得できたけれど、2級取得が間に合わない場合には、準2級プラスにチャレンジしてみるのもよいでしょう。
大学受験優遇制度の有効期限についてはこちら⇒英検を大学受験で利用するには?有効期限と準備期間をチェック!
就職・転職活動で履歴書に書ける
就職や転職の際に履歴書に書ける英検のレベルは、一般的には2級以上とされています。ビジネスで使える英語力としては2級以上が必要ですが、入社試験までに2級合格が厳しい場合には、準2級プラスにチャレンジするのも有効かも知れません。
試験内容として準2級は「日常的な話題」ですが、準2級プラスは「身近な社会的な話題」と定義されています。企業や部署によっては、使える英語力として評価対象になる可能性もあります。
また、準2級プラスは2025年度からの新設級なので、英語学習のトレンドを意識して新しい試験にチャレンジしている姿勢もアピールできるかも知れません。
履歴書に書ける英検級についてはこちら⇒英検は何級から履歴書に書ける?取得予定でもOK?就職後も有利に!
まとめ
準2級プラスは、準2級から2級への難易度アップの壁を乗り越えるため、その橋渡しとして新設されます。準2級は高校基礎レベル相当、準2級プラスは高校2年生レベル相当、2級は高校卒業レベル相当で、学習期間約1年ごとに一つ上の級を目指して学習できるようになります。大切なのは、文法事項の総仕上げである英検2級レベルまで英語力を伸ばすために、継続して学習していくことです。