パイロットの英語力はどのくらい必要? 私大の養成コースも紹介!
エアラインパイロットを目指すにあたり、気になることの一つに「英語力」があるかと思います。
ネイティブ並みの英語力はなくても大丈夫ですが、ある程度のレベルは求められます。
どのくらいの英語力が必要かは、「どのような進路でパイロットになるか」「就職したい航空会社はどこか」によって異なります。また、操縦するのが国内線か、国際線かによっても変わってきます。
この記事では、パイロットになるにあたり英語が必要になる場面とレベルをそれぞれまとめました。
最近人気のある「私大のパイロット養成コース」への出願要件も大学ごとに記載しています。
パイロットに憧れている方は、進路の参考にしてみてください。
パイロットになるまでの主なルート
パイロットになるには主に、以下の3つのルートがあります。
- ① 航空会社に就職⇒自社養成でライセンス取得⇒パイロット
- ② 航空大学校でライセンス取得⇒航空会社に就職⇒パイロット
- ③ 私大のパイロット養成コースでライセンス取得⇒航空会社に就職⇒パイロット
①は会社に入ってからライセンスを取得しますが、それ以外はライセンスを先に取得してから航空会社に就職します。
この記事では触れませんが、他にも、
- 民間飛行学校でライセンス取得⇒航空会社就職⇒パイロット
- 自衛隊で訓練&ライセンス取得⇒パイロット⇒転職
のようなパターンもあります。
英語力はいつ、どのくらい必要か【パイロットになる前】
パイロットになる前、つまり大学等に入る際の試験で必要な英語力を先ほど挙げたルート別にまとめました。
①就職⇒自社養成の場合に必要な英語力
3つのルートの中では最も高い英語力が求められます。
大手航空会社のJALやANAの応募資格に「TOEIC●点以上」等の記載はありませんが、選考ステップの中に英会話の試験があります。
そして、「自社養成」ですから合格して終わりではなく訓練が始まります。この訓練は海外で行われ、教官とのコミュニケーションも英語で行われることから高い英語力が必要です。
②航空大学校に行く場合に必要な英語力
航空大学校への出願資格に、英語に関するものはありません。
入試には英語もありますが、そこまで高いレベルは求められていないようです。
過去問も公式サイトで閲覧できますが、英検3級を持っているようなレベルであれば難しいとは感じないかと思います。
自社養成ルートだと入社後に海外での訓練がありますが、こちらのルートの場合、ライセンスは学校で取得しているのでそのような訓練はありません。(訓練自体はありますが日本語です)
③私立大学のパイロット養成コースに行く場合に必要な英語力
私大のパイロット養成コースというのも最近は増えてきました。東海大学や桜美林大学が有名です。
航空大学校と同じく、在学中にライセンスを取得するパターンです。
私大のパイロット養成コースを受験する場合、出願条件として何らかの英語資格が必要な学校がほとんどです。
ここでは、以下の7校を紹介します。
- 東海大学
- 桜美林大学
- 崇城大学
- 千葉科学大学
- 法政大学
- 第一工科大学(旧名称:第一工業大学)
- 工学院大学
"英語についての"出願条件を見てみましょう。
※掲載している情報は、あくまで2022年7月時点で確認できたものです。志望校の最新情報や詳細は必ず公式サイト等で確認してください。
東海大学
└ 工学部 航空宇宙学科航空操縦学専攻
- 英検
- CSE 2050点以上
- 2級受験のスコア。CBT・S-CBTでも可。
- TOEIC L&R
- 600点以上
- TOEIC L&R IPでも可。
- TEAP
- 245点以上
- CBTの場合は460点以上。
- GTEC
- 1010点以上
- 検定版・CBT可。
- TOEFL iBT
- 48点以上
- IELTS
- 4.5点以上
- Academic Moduleに限る。
- ケンブリッジ英検
- 145点以上
参考:東海大学
桜美林大学
└ 航空・マネジメント学群 航空・マネジメント学類 フライト・オペレーション(パイロット養成)コース
- 英検
- 2級以上(またはCSE1980点以上)
- 「S-CBT」「CBT」「英検2020 1 day S-CBT」「英検S-Interview」「英検2020 2days S-Interview」も可。
- TOEIC L&R
- 550点以上
- TOEIC L&R + S&Wの場合は790点以上。IPは不可。
- TEAP
- 225点以上
- CBTの場合は420点以上。
- GTEC
- 960点以上
- 検定版・CBT可。
- TOEFL iBT
- 42点以上
- MyBestスコア・ITPは不可。
- IELTS
- 4.0点以上
- Academic Moduleに限る。
- ケンブリッジ英検
- 140点以上
- 合否は問わない。Linguaskillは不可。
参考:桜美林大学
崇城大学
└ 工学部 宇宙航空システム工学科 航空操縦学専攻
- 英検
- 2級以上
- CBT・S-CBTも可。
- TOEIC L&R
- 450点以上
- IPも可。
- TEAP
- -(記載なし)
- GTEC
- 820点以上
- CBTも可。アセスメント版は不可。
- TOEFL iBT
- 32点以上
- ITPの場合は400点以上。
- IELTS
- 4.5点以上
- Academic Moduleに限る。
- ケンブリッジ英検
- 140点以上
- 合否は問わない。Linguaskillも可。
参考:崇城大学
千葉科学大学
└ 危機管理学部 航空技術危機管理学科
- 英検
- 2級以上
- CBT・S-CBTも可。
- TOEIC L&R
- 450点以上
- IPも可。
- TEAP
- -(記載なし)
- GTEC
- -(記載なし)
- TOEFL iBT
- 32点以上
- PBTも可。ITPの場合は400点以上。
- IELTS
- -(記載なし)
- ケンブリッジ英検
- -(記載なし)
参考:千葉科学大学
法政大学
└ 理工学部 機械工学科 航空操縦学専修
- 英検
- 準2級以上
- CBTも可。
- TOEIC L&R
- 430点以上
- IPは不可。
- TEAP
- -(記載なし)
- GTEC
- -(記載なし)
- TOEFL iBT
- 32点以上
- MyBestスコア・ITPは不可。
- IELTS
- -(記載なし)
- ケンブリッジ英検
- -(記載なし)
参考:法政大学
工学院大学
└ 航空理工学専攻
- 英検
- CSE 1800以上
- TOEIC L&R
- 400点以上
- TOEIC L&R + S&Wの場合は575点以上。
- TEAP
- 186点以上
- GTEC
- 850点以上
- TOEFL iBT
- 38点以上
- PBTの場合は425点以上。
- IELTS
- 3.5点以上
- ケンブリッジ英検
- -(記載なし)
参考:工学院大学
第一工科大学(旧名称:第一工業大学)
└ 航空工学部 航空工学科
英語に関する出願資格の記載なし。
(ただし、持っている資格によっては英語試験の加点になる)
参考:第一工科大学
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パイロットになってから必要な英語力
晴れて航空会社への就職が決まっても、特に国際線のパイロットの場合はずっと英語と付き合っていくことになります。
また、国内線のパイロットであっても会社の方針によっては英語を勉強し続けなければなりません。
国際線パイロットの場合
国際線のパイロットには「航空英語能力証明 レベル4以上」の資格が必要です。レベル3以下では国際線を操縦することができません。
また、レベル5以下の場合は有効期限もあり、都度更新も必要です(レベル6の場合は生涯有効)。
管制官との無線でのやり取りも原則英語です。
基本的には決まった言い回し(=航空英語)を使用します。
無線では、聞き間違いを防ぐため、使用する英語のフレーズというのが決まっています。
英語として正しくても、「きまり」なので別の言い回しをしてはいけないのです。
航空英語自体は覚えてしまえば難しいものではありません。
ですが実際飛行中にトラブルが起きた場合、「別の単語に置き換えながら慎重にやりとりし、確認を取る」といった能力が必要となります。そのため、航空英語だけを暗記すればいいというわけでもありません。
国内線パイロットの場合
国内線のパイロットであっても、一定の英語力を維持する必要があります。
まず、使用するマニュアルは英語で記載されていることが多いです。
そして先に記載したように、無線でのやり取りは英語で行うのが原則です。国内線で、通信相手が日本人であっても同様です。
近くを飛んでいる他の(海外の)飛行機にも情報が伝わるようにするためです。
また、例えば、LCCには外国人パイロットが多く在籍しているため一緒に運航することもあるでしょう。
業務に支障をきたさないようコミュニケーションを取る必要があります。
まとめ
エアラインパイロットとして働くために必要な英語力や、そのタイミングについてご紹介しました。
「まだ進路は悩んでいるけれども、パイロットへの憧れはある」という方は、英語の基礎となる英検2級/TOEIC600点はいつでも取れるようにしておいた方が良さそうです。
ここではあくまで英語についてのみ触れたため、かんたんそうに見えるルートもあったかもしれません。ですが、実際は英語よりも他の部分の条件が厳しく、クリアできず断念してしまう人は少なくありません。
だからこそ、もしあなたが「英語だけが不安だ」という状態であるなら、それはちょっともったいないかなと思います。
最初から高い英語レベルを目指すのではなく、まずは基礎から固めてみてはいかがでしょうか。
英語の基礎を固めたい方におすすめなのが、英検2級の勉強です。
大学入試では他の英語資格(TOEIC等)と比べ、圧倒的に英検の採用率が高く、高校生には特におすすめです。
大学により異なりますが、パイロット養成コースの場合は英検2級以上が出願資格となっているところがほとんどです。
「今から2級を目指すだけの英語力があるのか、不安がある」という場合も、ぜひカウンセリングでご相談ください。(これまでにパイロット志望の方も数名いらっしゃいました!)
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