高校生がTOEICを受けるとどうなる? 平均点やメリットを紹介
大学入試を見据え、TOEICに挑戦する高校生も最近では珍しくありません。
とはいえ、高校生にとってのTOEICは英検に比べるとまだまだ「よく分からない」試験ですよね。
TOEICは英検とどんな部分が主に異なるのか、高校生の平均点やスコアによるメリットも気になるところでしょう。
「高校生でTOEICに興味を持ったけれども、どのくらいを目指せばいいのか、そもそも英検でなくていいのか迷っている」 というあなたは、この記事の情報を参考にしてみてください。
高校生にとっての、TOEICと英検
まずは、学生にとっておそらく一番なじみのある英語検定試験「英検」と比較しながらTOEICがどんなものなのか確認しましょう。
TOEICには級がない
TOEICは、英検と違って「級」というものがありません。
全ての人が同じ試験を受け、そのスコアが何点だったかで自分のレベルが分かるようになっています。
英検のように級を選ぶ必要がないので、ある意味シンプルですが「英検5級レベルの人が受験した場合でも、英検1級レベルの問題が出される」ということでもあります。中学生レベルの基礎ができていない場合は受験自体を苦痛に感じるでしょう。
TOEICは内容がビジネス寄り
英検は、各学年の学習内容に沿ってうまく級分けして作成されている試験です。
扱うトピックも準2級~2級くらいまでは日常生活で出会うものがメインです。準1級~1級になると、学術的な内容や社会問題に関するものも多く登場します。
一方でTOEICは、もともと学生向けに作られたものではなく出題内容はビジネス関連に偏っています。
リスニングでは「取引先からの電話」「社内でのミーティングの様子」といったシチュエーションが頻繁に出てきます。
英検の勉強は学校での学習内容とかぶっている部分が多く高校生にとっては学習しやすい試験です。
TOEICに挑む場合は、それとは全く別の勉強、具体的に言えばビジネスの場で使用されるような単語やフレーズをたくさん覚えることが必要になります。
TOEICは「一度に4技能」の試験ではない
英検は基本的に4技能(読む・書く・聞く・話す)を一回の試験で扱いますが、TOEICはそうではありません。
TOEICには、実はいろいろな種類があり、一般的にTOEICというと「TOEIC L&R」を指します。
L&R、つまりListeningとReadingだけです。
英検のようにマイクで声を吹き込んだり、自由英作を求められることはありません。
「TOEIC S&W」という試験も別にあり、こちらはSpeakingとWritingのみの試験です。
TOEICのスコアを学校などに提出する場合は、「どの試験のスコアなのか」をよく確認する必要があります。
(TOEICの種類について知りたい場合はこちらの記事を見てみてください)
就活で使う場合はL&Rのみで大丈夫な場合がほとんどです。
ですが、特に大学受験で活用する場合は「4技能の試験結果」が求められることが多く、つまり「TOEICの場合はL&Rだけでなく、S&Wも必要」になることもあります。
TOEICの受験料
英検は級によって値段が異なりますね。
一方、TOEICは級分けはされていません。ただ、先に紹介したようにL&RかS&Wか、「種類」によって値段が変わってきます。
- 英検
- S-CBT
- 従来型 / 個人
- 従来型 / 団体
- 3級
- 7,200円
- 6,400円
- 4,300円~
- 準2級
- 8,500円
- 7,900円
- 5,300円~
- 2級
- 9,000円
- 8,400円
- 6,000円~
- 準1級
- 9,900円
- 9,800円
- 9,800円
- 1級
- 実施なし
- 11,800円
- 11,800円
(税込)
参考: 検定料(英検S-CBT) ・ 検定料(従来型)
英検も試験会場によって値段は異なりますが、準1級や1級を受けるよりはTOEIC L&Rの方が安いです。
ただし、S&Wの方も受けるとなるとかなり高額になります。
TOEICは年間10回開催
英検は年3回、TOEICは年10回開催され、ほぼ毎月受験ができます。
思い立ってすぐに申し込み・受験ができるのがTOEICの良いところで、英検のように「次の試験、結構先だなあ」とモチベーションが低下することも防げます。
何度も受験をすることで試験自体に慣れることもできます。
大学生や社会人になると、思っていた以上にやることが多くなります。まだ時間のある高校生のうちに、何度か挑戦するのもいいでしょう。
TOEICの平均点
次に、TOEICのスコアはどのくらいとればいいものなのかを考えてみましょう。
全体の平均と、高校生の平均を見てみます。
全体の平均スコア
iibc(TOEIC運営)の調査によると、2021年度のTOEIC平均スコアは公開テストが611点、IPテストが498点です。
それぞれのスコア分布をグラフで見ると、このような感じです。
IPテストというのは団体受験のことで、塾や学校、企業などが主催し、自分がそこに所属していれば手軽に受けることができる形式です。受験料も安いです。
難易度は変わりませんが、「ちょっと受けてみようかな」という、あまり本気でないタイプの人も受けるので分母が大きく、その分平均は下がります。IPの場合は100点ほど下がっているのが分かりますね。
「全体の平均と同じくらいを目指したい」という場合は600点を目標にするのがいいでしょう。
この600点というのは、大学生・社会人になってからも履歴書に記載できるスコアで、英検では2級くらいのレベルと言われています。
高校生の平均スコア
さて、高校生の平均スコアも見てみましょう。
同じ資料によると、高校生の平均は公開テストが513点、IPテストは437点です。
IPテストに関しては、学年別の平均も確認できます。グラフで見てみましょう。
先ほど述べた通り、IPテストのスコア平均は低めに出ます。なので、先ほどと同じく「100点くらい低めに出ている数字なんだな」と思いながら見てください。
要するに、このIPテストの平均スコアを目標にはしないでください。低すぎます。
続いて、高校の所属科別平均スコアも見てみましょう。
やはり、英語科・国際科コースの平均は506点と他よりも高めです。平均を引っ張り上げている生徒たちですね。
彼らは他の科の生徒よりは英語に力を入れており、IPテストとはいえ分母に「英語は苦手だしTOEICにもあまり興味はないけれど、なんとなく受けた」人は少ないと推測します。公開テストを受ける人たちと同じくらい本気で挑んでいるはずです。
そのため、506点という平均点は素直に受け取っても良さそうです。最初に紹介した高校生の"公開テストの"平均も513点なのでほぼ同じですね。
「高校生の平均を目指したい」という場合、まずは500点くらいを目標にしてみてはいかがでしょうか。
高校生でTOEICを受けるメリット
英検を受けるかTOEICを受けるか、どちらかといえば「英検」の方が高校生にとっては役には立ちます。
大学入試での優遇措置は英検の活用が最も多く、また学習範囲も授業とかぶるところが多いため無駄なく学習ができます。
ただ、TOEICを受けるメリットももちろんあるので、それについて見てみましょう。
大学受験での活用
英検の活用が最多ではありますが、TOEICを活用する大学も多くあります。
志望校が決まっている場合は、募集要項を確認してみましょう。
目安として、多くのTOEIC活用校では500~600点、難関大学では700点ほどで優遇措置が受けられるようです。稀に800点以上を求める大学もあります。
(L&RだけでなくS&Wもセットで必要な大学も多いため注意してください)
今のうちから慣れる
TOEICにはTOEICの形式があります。
英語が得意であっても、やはり初めての試験は戸惑うこともあります。
とくにリスニングパートは、慣れればなれるほど「こういうことを聞いてくるんだろうな」という予測をしながら聞くことができるようになります。
将来、就活をする時期になって大急ぎで受験するよりは、今から少しずつ慣れておいた方が有利です。
多くの中での自分の位置を知れる
英検に比べ、TOEICは大学生・社会人の受験者が多い試験です。級も分かれていないため、同じ条件で自分と比較ができます。
様々なフィールドにいる人たちの中で、自分の英語力がどのくらいに位置するのか知ることができるのは、ちょっとワクワクするのではないでしょうか。
モチベーションになる
これまでTOEICを受けたことが無い場合、初めての試験は緊張もする反面、勉強にも気合いが入るでしょう。
学校や英検の勉強で出会うのとはちょっと違う雰囲気の英語も面白いかもしれません。気分転換にもおすすめです。
TOEICと英検、高校生ならどっちがいい?
今あなたが高校生で、まだ志望校が決まっていない場合は英検の方がおすすめです。理由は先ほども述べた通り、活用校が最も多い、汎用性の高い試験だからです。
特別TOEICに受験に興味がないのであれば、今は無理に受ける必要はありません。
志望校は決まっていないがTOEICにも興味がある場合や、志望校が決まっていて、TOEICも活用されているのであればTOEICを受験するのもいいかと思います。後者の場合は募集要項で、取得すべきスコアもよく確認してください。
ただしS&Wも必要な場合は、受験料のことを考えると英検に絞った方が安いためその辺りもよく考えましょう。
あなたが現時点で高校に入学したばかりだという場合、「今とったスコアは受験では使えないかもしれない」ことも頭に入れておきましょう。
英検と同じくTOEICも、スコア自体は生涯有効です。
ですが、TOEICは「2年以内に取得したものに限る」と言われることが多く、とくに大学の募集要項ではそのような記載が多く見られます。
就活の時期にも提出先によっては使えない、というか、その頃にはあなたの英語力も今より上がっているはずなので、頃合いを見計らって再度TOEICを受けましょう。
まとめ
TOEIC受験について、高校生向けにまとめました。
高校生にとっては、やはり英検の方が向いてはいます。ただ、TOEICを受けることにもメリットはあり、興味があれば申し込みをしてみても良いかと思います。
行きたい大学が決まっている場合は、募集要項を確認しそれに合わせて目標を立てましょう。
「志望校は決まっていないけど、受けてみたい!」という場合は500~600点を目安に勉強を始めてみてもいいかもしれません。
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