英検CSEスコアとは?合否だけでなく注目のシステムを徹底解説!

英検は、日本国内最大級の英語資格試験ですが、2016年から導入された「英検CSEスコア」により、世界基準で英語力を評価できる試験へと変わりました。
現在英検の成績表には合格・不合格だけではなく、各技能ごとの「英検CSEスコア」と「解答状況」(各問題の正答・誤答)も記載されています。しかし、そもそもCSEスコアとは何なのか、実際の点数とは何が違うのか、よく分からない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、実は合否と並んで注目すべき「英検CSEスコア」の評価基準や活用の仕方について詳しく解説します。ぜひ参考にして、自分の英語力の正確な把握と今後の英語力アップに役立ててください!

英検CSEスコアの導入概要とその背景
CSEとは「Common Scale for English」の略です。英検CSEスコアは、英検の点数を「世界共通の基準」で示すために、日本英語検定協会と日本生涯学習総合研究所が共同で開発した指標です。
従来の合否判定のみでは国際的に通用しないケースが増えてきたため、英検を「世界に通用する資格」にするために、国際基準に対応するスコアシステムが導入されました。
英検CSEスコアの特徴は?
まず、世界基準で自分の英語力を証明できます。加えて、4技能それぞれの評価が出るので、自分の英語力のバランスが正確に分かります。これらの特徴により、大学や企業でも英検CSEスコアが多く採用されるようになりました。詳しくみていきましょう。
自分の英語力を世界基準のCEFRに換算できる
英検CSEスコアは、英語を含めた外国語の運用能力を評価する国際指標「CEFR(セファール:ヨーロッパ言語共通参照枠)」に換算することができます。
TOEICやTOEFLなど、就職や留学の際に採用されている英語試験はCEFRに対応しているものが多いので、これらの試験でどのレベルなのかも分かります。
例えば英検CSEスコア2000(2級)とTOEIC600点はCEFRではB1レベル、英検CSEスコア2500(準1級)とTOEIC800点はCEFRではB2レベルです。各試験のスコア換算は、文科省による「各試験団体のデータによるCEFRとの対照表」を参考に算出できます。
このように、英検CSEスコアをCEFRに換算すると、自分の英語力が世界基準でどのくらいのレベルなのかを正確に把握できます。またCEFRは、英語の知識ではなく「英語を使って何ができるか」を評価する指標であるため、世界基準で「使える英語力」の証明になるのです。
英語力4技能のバランスが正確に分かる
英検CSEスコアが導入される以前は、英検の合否は「総合得点」の判定でした。そのため、例えばR(Reading)とL(Listening)の合計得点が合格基準に達していれば、W(Writing)が0点であっても1次試験に合格する可能性がありました。
しかし英検CSEスコアは4技能がすべて同じスコア配分であるため、極端に低い点数の技能があると不合格となります。
英検準1級の1次試験を例に、同じ正解数の場合を比較してみましょう。
R | L | W | 合計 | 合格基準 | 合否 | |
---|---|---|---|---|---|---|
素点ベース (2015年以前) | 51/51 | 34/34 | 0/14 | 85/99 | 約70% | 合格 |
CSEスコアベース (2016年以降) | 750/750 | 750/750 | 0/750 | 1500/2250 | 1792 | 不合格 |
参照:英検公式HP「2016年度からの新しい合否判定方法について」
このように、素点ベースでは、99点満点中85点を取れば、合格基準の約70%を超え、合格となっていました。しかしCSEスコアはすべての技能に750点が配分され、合格基準が1792点であるため、RとLが満点で2250点満点中1500点を取っても、不合格となるのです。

英検CSEスコアと素点(点数)の違いは?
上の表からも分かるとおり、素点(点数)とCSEスコアはイコールではありません。事実、英検CSEスコアは、全受験者の採点をした後、統計的手法(Item Response Theory)を用いて算出されています。そのため、受験者が自己採点をして、自力でスコアを算出することは出来ません。詳しくみていきましょう。
英検CSEスコアは英検独自の統計的手法により算出される
正解数による合否判定では、各回の問題の難易度などの違いから、測れる英語力にばらつきが出てしまう可能性があります。そのためCSEスコアは、各試験の採点終了後に、その回の平均点、全受験者の正答率、過去のデータなどを参照して算出されるのです。その結果、1問に割り振られるスコアも毎回変動し、同じ正解数でも違うスコアになります。
特に英作文は、問題数が少ないためスコア配分が高く、2問で1次試験の3分の1のスコアを占めます。またマークシートではなく筆記のため、「自分の英文でどのくらいのスコアが取れるのか」を判断するのはさらに難しくなります。
以上のことから、自分の解答でどのくらいのスコアが取れるのかを知り、高スコアを目指すためには、英検のデータを多く持つプロに分析・指導してもらうことも有効です。
どの級をいつ受けても同じ実力なら同じスコアが出る
英検CSEスコアは、受験級に関係なく、5級から1級まですべての級に共通する指標です。どの級を受けても同じ基準でスコアが出るため、点数だけでは測れなかった「級の違いや合否に左右されない正確な英語力」が分かります。
例えば、2級を受験しCSEスコア2500点で合格した場合、準1級に合格できるレベルの英語力があると判断できます。一方、2級と準1級では問題が違うため、得点だけではこの判断はできません。また、2級の合格基準はCSEスコア1980点であるため、スコア1975点で不合格だった場合は、あと5点で合格できたということが分かります。
そしてこの「どの級をいつ受けても同じ実力なら同じスコアが出る」仕組みにより、2016年度のスコア導入以前の成績を、CSEスコアに換算することも可能です。⇒英検 CSE2.0スコア確認システム
英検CSEスコアの活用方法は?
英検CSEスコア導入以前は、英検は合否のみで評価されていたため、不合格の場合はその結果の活用場面がありませんでした。
しかし英検CSEスコアの導入により、合否だけでなくスコアを併記することで、より詳細な英語力を証明でき、受験結果を活用できる場面が大幅に増えました。代表的な活用方法をみてみましょう。
進学や就職の際に英語力を証明できる
近年の大学入試では、出願時にCSEスコアの点数を条件にする大学が増えています。2025年度の例をみてみましょう。
大学・学部 | 入試方式 | 出願基準 |
---|---|---|
早稲田大学社会学部 | 自己推薦入試 | 出願資格:CSEスコア1950以上 |
上智大学経営学部 | 推薦入試 | 出願基準:英検2級A(CSEスコア2300) |
関西大学法学部 | 総合型選抜入試 | 英語外部試験の基準:英検準1級以上を受検し、CSEスコア2300点以上 |
関西大学は「準1級以上を受験」としており「合格」とは明記していません。またCSEスコアは英語の学科試験免除・加点・得点換算等にも活用されています。
一方、就職・転職ではTOEICを採用している企業が多い傾向にあります。しかし英検CSEスコアはCEFRを通してTOEICスコアに換算できるので、「英検CSEスコア〇点、TOEICスコア〇点レベル」と併記し、アピールすることもできるでしょう。
自分の弱点を知り次の英検受験に活かせる
英検CSEスコアは「どの級をいつ受けても同じ実力なら同じスコアが出る」ため、過去のスコアと比較して、自分の英語力の伸びを確認できます。例えば合格が難しい上位級に挑戦している場合、まずはスコアアップを目標に学習することで、モチベーションを保ちやすくなるでしょう。
また、問題数にかかわらず4技能それぞれのスコアのバランスが分かるため、自分の得意技能と弱点が把握できます。例えばListeningやReadingが高スコアでWriting(英作文)のスコアが低い場合は、Writingのスコアアップを目標に学習すればよいことになります。

まとめ
英検CSEスコアは、世界基準で自分の英語力を評価でき、英語力4技能のバランスを正確に測ることができる指標です。受験級や、その合否にかかわらず実力に応じたスコアが出るため、進学や就職の際に自分の英語力を的確にアピールすることができます。
しかし、英検CSEスコアは素点(正解数)とイコールではなく、英検独自の統計的手法によって算出されるため、受験者が自己採点でスコアを算出することはできません。高スコア獲得のためには、英検に関する豊富なデータを持つプロの手を借りることも大切です。
