英検準1級はTOEICより先に目指すべき?その理由を徹底解説
中級レベルの英語力をさらに向上させたい場合、英検とTOEICのどちらを目指すべきなのでしょうか。数ある英語資格のなかでも、英検とTOEICは受験や求職・昇給などの条件に採用されることの多い資格です。特に中級レベルとされる英検2級やTOEIC700点を取得できた方のなかには、次の目標に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、英語中級レベルの方がより英語力を向上させるために効果的な学習順序と最適な英語資格について、英検とTOEICを比較しながら解説していきます。
英検準1級とTOEIC|そのレベルと違いは?
CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)でみると、英検準1級はB1〜B2レベルに該当し、同レベルのTOEIC L&Rテストは700~800点とされています。ただし、TOEIC L&Rはリスニングとリーディングの2技能しか測れないため、英語4技能の総合評価である英検と単純に比較することはできません。
英検は、4技能すべての評価がスコアで提示されることに加え、試験内容が学習指導要領に沿っているため、受験や大学の単位認定などで活用されることの多い資格です。
一方TOEICは、試験内容がビジネスに特化しているため、求職や昇給の際に評価につながる場面で多く採用されています。
英検準1級の学習で身につくのは4技能の総合力
英検の最大の特徴は、「読む・書く・聞く・話す」という英語の4技能を総合的に測定する試験であることです。英検CSEスコアによる判定で、4技能のうち極端にスコアの低いセクションがあると不合格となるため、英検準1級の取得にはバランスの取れた総合力が必要です。
ここからは、英検準1級取得で身につく英語力について解説します。
専門性を含む高レベルの語彙力
英検準1級合格に必要な語彙数は、約7,500語〜9,000語といわれており、英検2級の約6,000語と比較すると約1,500〜3,000語も多く覚える必要があります。
加えて、その内容も社会問題や科学技術、医療、国際問題、環境問題など専門性の高いアカデミックな語彙が多く出題されます。
このような語彙レベルの高さが、英検準1級の難易度を押し上げている大きな要因といえるでしょう。
多様なジャンルの読解力と理解力
英検準1級のリーディングセクションは31問で、制限時間はライティングの2問を含めて90分です。
なかでも長文問題は、400〜500語の文章を熟読せずには解けないように作られているため、精読力が必要です。出題内容は説明文や評論文など多岐にわたり、芸術や文化、歴史、政治経済など、社会性の高い話題に関する複雑な文章の理解力が問われます。
難易度は難関大学の入試問題と同程度とされており、高レベルの読解力・理解力が求められているといえます。
論理的に構成できるライティング力
英検準1級のライティング問題は、2024年度のリニューアルで2問に増え、「意見論述」と「要約問題」に記述で回答する形式となっています。
出題内容は文化、教育、医療、テクノロジーなど多岐にわたるため、大学中級レベルのアカデミックな知識が必要です。
意見論述(英作文)ではそれらを「自分の英語で」論理的に構成して表現する力、要約問題では原文の主張を読み解き、要点を的確にまとめて別の英語表現に書き替える力が求められます。
参考:英検準2級プラス以上の要約問題対策とは?|合格への近道を徹底解説
社会問題にも対応できるスピーキング力
英検の二次試験(面接)は、面接官と一対一で会話する形式で、準1級の所要時間は約8分です。
社会性の高い分野の話題が出題され、面接官との質疑応答を通して自分の意見を英語で述べる力、加えて発音・流暢さ・語彙の豊富さ・議論を深める能力などが求められます。
社会問題に関する意見が求められるため、英語力を磨くだけでなく、常日頃からニュースを追いかけ、理解したうえで自分の意見をまとめておく必要があります。
参考:英検二次試験に落ちる人の特徴とは?失敗から学ぶ対策と合格への近道
参考:英検二次試験を徹底解説!スピーキング対策で磨ける「使える英語力」
英検準1級と比較してTOEIC対策だけでは不十分な英語力
TOEICには、「Listening & Reading Test」と「Speaking & Writing Test」がありますが、それぞれ別のテストで、4技能を1度に測れるテストはありません。現在日本でTOEICというとほぼ「L&R」を指すことが多いため、英検と比べると以下のような能力は伸びにくいと考えられます。
発信力|ライティング・スピーキング
英検では、ライティングとスピーキングがそれぞれ総合スコアの25%を占めており、この2技能だけで全体の約半分を占めます。一方TOEIC L&Rでは、ライティングとスピーキングのテストがないため、発信力は評価できません。
TOEIC対策はリーディングとリスニングに特化するため、「実際に使える英語力」を示すために重要な「英作文の力」と「英会話力」を磨く必要がありません。その結果、発信力の強化が不足すると考えられます。
高度な語彙力と読解力
英検のリーディング、特に長文読解では、社会的な話題についての複雑な英文が出題されます。文章の展開を予測しながら読み進め、概要や要点、主張や根拠を目的に応じて整理しながら理解できるレベルが求められます。
一方、TOEICはビジネス英語に特化しているため、問題数は多いものの、語彙や長文はほぼビジネス英語や日常会話が中心です。そのため語彙力と読解力については、TOEIC対策だけだとビジネスシーンに偏ってしまう傾向があります。
社会問題や時事テーマへの理解
英検準1級では、日常会話やビジネス英語に加え、環境問題・歴史・文化・生物・科学・医療・テクノロジー・時事問題などが出題されます。そのため日頃から専門的な内容が含まれる幅広いジャンルの英文を時間に時間をかけて取り組み、時事問題への関心や、論理的な文章構成能力を高めておく必要があります。
一方TOEICは、「ビジネス現場でのコミュニケーション能力を測る」ためのテストです。そのため限られた時間で多くのビジネス英語を瞬時に理解するための対策となり、「国際人としての教養を磨く」という側面は少ないといえます。
参考:社会人こそ英検!受験のメリットは学生以上?その理由を徹底解説
英検準1級合格後にTOEICを受けると有利な3つの理由
英検準1級保持者がTOEICで800点以上を目指す場合、基本的にはTOEIC特有の問題形式や速度に慣れるために、過去問を使った対策をすればよいでしょう。その理由は主に以下の3つです。
- ・英検準1級レベルの語彙力はTOEICにもそのまま活きる
- ・TOEICの長文は英検準1級より短く、内容もビジネス分野に限られる
- ・TOEICにはライティング・スピーキングの試験がない
ただし、TOEICは英検よりも制限時間内に解かなければならない問題数が多いため、「TOEIC特有の速読即解」対策に集中して取り組むことが大切です。
まとめ
英検準1級とTOEIC800点は、CEFRを通して比較すると同レベルに見えますが、実際には出題内容や評価される技能において大きな違いがあります。幅広く高いレベルのアカデミックな英語を使いこなす総合力を評価するのが英検準1級、ビジネス英語に特化したコミュニケーション能力を評価するのがTOEICです。
中級レベルからさらに英語力を向上させるためには、まずは英検準1級レベルの語彙力・発信力・社会的問題への対応力を磨きましょう。そのうえで、TOEIC特有の問題形式とスピードに慣れることで、「資格取得」だけでなく「スキル獲得」を目的とした英語力の向上を目指せます。総合力を高めて、職場に外国人がいる環境でも「本当に使える英語力」を磨いていきましょう。
